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2022.10.20

『仲裁判断取消申立事件勝訴のご報告』

    •  日頃より丸杉バドミントンチームを応援していただき、誠にありがとうございます。
       2022年10月6日、東京地方裁判所民事第35部(関根澄子裁判長)は、公益財団法人日本バドミントン協会が、弊社を相手方として、公益財団法人日本スポーツ仲裁機構(JSAA)が行った仲裁判断の取り消しを求めた事件について、日本バドミントン協会の申立を棄却しました(東京地裁令和4年10月6日決定・令和3年(仲)第3号仲裁判断取消申立事件)。

      1 弊社は、2020年6月ころ、株式会社アメリカンベイプより、同社が破綻したことから、同社が運営していたアメリカンベイプ岐阜バドミントンチームの移譲を受け、チーム名を「丸杉Bluvic(丸杉ブルヴィック)」に変更致しました。
       チーム運営主体の経営破綻という緊急事態であったこと、給与遅配によりすでに所属選手が食事にも事欠いていたことから、救済の必要が高いと判断して、弊社には女子バドミントンチームがございましたが、別チームの引受けを決断致しました。その際には、関係規程や過去事例に照らし、アメリカンベイプ岐阜が有していたS/Jリーグ1部リーグ(S/JリーグⅠ)に参加する資格をそのまま引き継いで戦えるように、あえて弊社女子チームへの合流ではなく、チームの委譲を受ける方法を選択致しました。厳しいリーグ戦を勝ち抜いて次年度のリーグ参加の権利を手にした選手達をリスペクトすべきだからです。
       その後、日本バドミントン協会のS/Jリーグ委員会に対し、 S/JリーグⅠへの加盟(参加)を申請したところ、同月27日、S/Jリーグ委員会は、丸杉Bluvicの加盟を認めない決定をしました。

      2 そこで、丸杉Bluvicは、S/Jリーグへの丸杉Bluvicの加盟を認めないという決定の取消を求めて、JSAAにスポーツ仲裁の申立をしました。2021年4月28日、JSAAは、丸杉Bluvicの主張を容れて、丸杉Bluvicの加盟を認めないという決定を取り消す仲裁判断を行いました(本件仲裁判断・JSAA-AP-2020-005)。これにより、丸杉Bluvicは、2021年度のS/JリーグⅠへの加盟(参加)が認められるはずでした。

      3 ところが、S/Jリーグ委員会は、丸杉Bluvicにのみ、2021年度S/JリーグⅠのチーム登録申請書類を送付しませんでした。これでは、S/Jリーグ委員会は、すでに丸杉Bluvicを2021年度のS/JリーグⅠに参加させないとの決定をしたと考えるしかありませんでした。
       そこで、丸杉Bluvicは、その決定の取消しを求めて、JSAAに新たに緊急仲裁申立を行いました。しかし、日本バドミントン協会は、その直前にJSAAによるスポーツ仲裁手続の自動応諾条項を離脱する決議をした上、個別にもスポーツ仲裁に応じることに同意せず、スポーツ仲裁による解決を拒否しました。そのため、JSAAは、実体判断に立ち入ることなく緊急仲裁手続を終了させました(仲裁手続終了決定・JSAA-AP-2021-001)。
       スポーツ庁の定めたスポーツ団体ガバナンスコード<中央競技団体向け>原則11は自動応諾条項制定を要求しており、しかも、日本バドミントン協会自らも同ガバナンスコードの遵守状況として「スポーツ仲裁を利用可能である」との自己説明を当時公表していました(https://www.badminton.or.jp/governanceCode/docs/governanceCode_20210212.pdf)。 日本バドミントン協会によるスポーツ仲裁自動応諾条項からの離脱は、国策に背く上に、自らの対外的説明をも反故にする背信的行為であり、同協会のガバナンス不全を示すものでした。

      4 これによって、事実上、2021年度のS/JリーグⅠに必ず間に合う形での権利救済は困難となり、丸杉BluvicがS/JリーグⅠに参加することは不可能となりました。弊社は、ともかく丸杉Bluvic所属選手がS/Jリーグに参加できるようにすることを最優先とし、やむを得ず、丸杉Bluvicに所属していた選手及びスタッフのほぼ全員を、S/Jリーグ2部リーグに参加する丸杉女子チームの選手として登録する手続きを行いました。苦渋の決断でしたが、これにより、丸杉Bluvicは、選手、スタッフともいなくなり、解散して消滅せざるを得ませんでした。

      5 このように、丸杉Bluvicは消滅せざるを得ませんでした。
       ところが、2021年7月27日、日本バドミントン協会は、弊社を相手方とし、本件仲裁判断の取消しを求めて、東京地方裁判所に仲裁判断取消申立を行いました。すでに丸杉Bluvicは消滅しており、S/Jリーグへの参加は不可能となっていましたから、本件仲裁判断が取り消されるか否かは2021年度S/Jリーグのチーム構成とは無関係でした。それにもかかわらず日本バドミントン協会がこのような申立を行ってきたことに弊社は困惑致しましたが、誠実に対応しました結果、東京地裁は、日本バドミントン協会が申し立てた多数の取消事由をことごとく否定して、日本バドミントン協会の申し立てを棄却しました。弊社の主張が裁判所に正しく理解され、受け容れられた結果だと評価しております。
       前述のとおり、2021年度S/Jリーグのチーム構成とは無関係であるにも関わらず、日本バドミントン協会が本件仲裁判断の取消しを申し立てたのは、丸杉BluvicのS/Jリーグからの排除を許さなかった本件仲裁判断を覆すことで、丸杉Bluvicの排除とスポーツ仲裁拒否を正当化する狙いがあったとしか考えられません。しかし、この度の裁判所の棄却決定は、日本バドミントン協会の申し立てた取消事由を全て否定し、丸杉Bluvic排除を許さなかった本件仲裁判断を支持しました。近時、日本バドミントン協会の深刻なガバナンス不全が明らかとなっていますが、丸杉Bluvic排除とスポーツ仲裁拒否もまた同協会の深刻なガバナンス不全の現れだといえます。選手やチームのことはもとより、わが国のバドミントン界の今後の発展を展望するとき、日本バドミントン協会の抜本的な組織改革が急務だと考えます。

      6 2022年度、丸杉バドミントンチームは、女子部も男子部も、ともに国内最高峰のS/JリーグⅠに参加致します。これもひとえに皆様のご支援の賜物と存じます。皆様のご期待に沿えるよう、丸杉バドミントンチーム一丸となって精進する所存です。
       皆様におかれましては、今後とも益々のご支援を賜りますよう、よろしくお願い申し上げます。